中国遺棄毒ガス問題に関する情報

遺棄毒ガス・砲弾訴訟損害賠償請求第2次訴訟判決

2003年5月15日

不当判決

「遺棄毒ガス被害の事実は認めながらも、日本政府の賠償責任は認めず」

残念ながら、私たちには到底理解できない不当な判決が出ました。

控訴し、これからも勝利するまで闘いは続きます。

中国遺棄毒ガス被害者・李国強さん・張岩さん達中国戦争被害者の

補償を求める裁判:5月15日10時東京地方裁判所103号法廷にて判決

                                                                                                                                                                                     

 遺棄毒ガス弾による被害の事実は認めるが

日本政府に賠償責任はないという

日本政府の責任を回避するための

法の解釈にすぎない、内容のない

判決理由でした。

 

        

原告の一人張岩さん怒りの報告会          決を前に 裁判所前に集った支援者 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

 

中国黒龍江省社会科学院高暁燕先生の講演あか暁高高高暁燕先生の記念講演会    は2002年6月9日毒ガス島歴研究所総会にて

高先生は日本軍が中国に遺棄した毒ガス弾によって、今でも多くの中国人が

被害を受けている実態を、自ら被害者を実態調査した体験をもとに具体的に

その実情を訴えられました。改めて、戦争はまだ終わっていない。日本は

戦後補償をまだおこなっていないことが明らかになりました。

       

「遺棄毒ガス弾の現状と課題」 という演題で講演する高先生     交流会も行いました。

           

                             

              高先生の著書                      大久野島の遺跡を案内しました。

                                            発電場跡にて話を聞く高先生

高暁燕女士は

現中国黒龍江省社会科学院歴史研究所、副研究員                   

1995年ハルピンで行われた

「陽光下的悪魔ー侵華日軍科学戦罪行展」の企画に参加     

中国東北地方史の研究に従事。

著書に「日本軍の遺棄毒ガス兵器」明石書店がある。

中国遺棄毒ガス問題研究の第一人者です。                                               

    

【 中国テレビ局が大久野島に【】  

  毒ガス問題を取材に来日

2002年3月24日・25日に毒ガス島歴史研究所の協力の下に

黒龍江省電視台のスタッフが大久野島と竹原証言集会を取材しました。

取材した内容は中国黒龍江省で放送されました。

 

   

毒ガス資料館前にて収録        国民宿舎前広場にて村上さんの話を聞く  長浦毒ガス貯蔵庫跡にて

   

毒ガス工場発電場にて          一行は広島平和資料館も見学した       

[中国遺棄毒ガス被害者竹原証言集会 ]

2002年3月24日

中国遺棄毒ガス被害者の証言集会は

たくさんの参加者のもとにおこなわれました。

ご協力ありがとうございました。

集会では、李国強さんと張岩さんが被害の実情と

日本政府に訴えたいことを証言されました。

今後、日本の裁判所が被害者の訴えを受け止め、

正当・公正な判決が出ることを要求します。                

     

   広島空港にて熱烈歓迎                        竹原証言集会にて、

    

証言する中二人、左が李国強、右が張岩さん     絵画・書道を見る李国強さんと張岩さん

             

証言集会会場で大久野島の写真展と                   

中国・日本の子どもたちの絵画展が

開かれました。

 

中国遺棄毒ガス被害者が

主に訴えられた点は次の4点でした。

1:なぜ、戦争が終わって平和に生活している私たちが

  こんな苦しい目に合わなくてはならないのか。

2:被害に合ってからはずっと精神的に、つらい日々が続いている。

  時には、自殺まで考えたこともあった。

3:後遺症の治療や、健康維持のために、高価な薬を購入したり

  病院で治療を受けたり、経済的に多大な被害をこうむっている。

4:自分だけではなく、家族にも精神的・経済的に苦労と負担をかけている。 

日本が無責任に、遺棄してきた毒ガスがこのような被害と苦しみを与えていることは

許されないことです。日本政府は早急に、遺棄毒ガス被害者に対して謝罪と補償を

しなければなりません。

あわせて、今後、中国の人たちに被害が出ないように早急に遺棄毒ガス弾の完全処理

をおこなわなくてはなりません。

中国では分かっているだけでも2000人以上の人たちが

戦後、遺棄毒ガスによる被害を受けています。

農作業中や道路工事中に、 建築現場で、河口で砂を掘っている現場で、

遺棄毒ガスは予期せぬところに埋められたり、捨てられたりしています。

毒ガスとは知らず、多くの中国人が被害を受けています。

明らかにされていない被害者はもっともっといることは間違いありません。

     李国強さんの紹介

              

1949年生まれ(52歳)                   

中国黒龍江省チチハル市フラルキ区                                                                                            

中国第一重型機械集団公司勤務(現在休職中))

1987年10月工事中に日本軍の遺棄した

毒ガスの入った鉄缶が掘り出された。

毒ガスとは知らず工事関係者から調査を依頼された

李国強さんは、何であるかを調べているうちに             李国強さん(チチハル市)

日本軍が遺棄した毒ガスに侵された。毒ガスによる被害は、

李さんの人生を変えてしまいました。

李さんは毒ガスによる後遺症のためその後、健康がすぐれず、

後遺症に苦しめられ、

現在は、休職を余儀なくされています。

 1997年10月李国強さんは遺棄毒ガス・砲弾訴訟損害賠償請求第2次訴訟の原告として、

 他の3名の中国人被害者とともに日本国政府を相手に損害賠償訴訟を起こしています。

今年、李国強さんは3月22日東京地方裁判所において証人尋問に応じられました。。         

   

李国強さんに日本に来ていただき広島と竹原で証言集会を開きました。

  

竹原証言集会の時、私(山内)の家にも宿泊してもらいました。

一緒に餃子を作ったり楽しい一時を過ごしました。

 

李国強さんの裁判の現状

@今回の尋問の場所時間について

東京地方裁判所 103号法廷(1階)

(地下鉄丸の内線、千代田線、日比谷線)霞ヶ関駅下車すぐ(A1出口)。

 李国強さん→3月22日午前10時〜午後3時。

A裁判の経過と現在の裁判の焦点となっている点

 A、遺棄毒ガス・砲弾訴訟損害賠償請求訴訟弁護団が扱っている事件は、1次訴訟と

2次訴訟があります。1次訴訟は1996年12月9日に提訴、

2次訴訟は1997 年10月16日に提訴しました。李国強さんは第2次訴訟です

B現在の訴訟の状況

 1次訴訟、2次訴訟とも、4,5年かけてやっと被告日本政府との間の法律論に関する応酬が終わり、

これから原告本人尋問及び証人尋問が始まったところです。

 原告側が主張してきたのは

(1)国際法上の請求権(個人の外国政府に対する戦争被害賠償請求権)

(2)遺棄行為に基づく損害賠償請求権(民法−中国法・日本法)

(3)戦後の放置行為に基づく損害賠償請求権

(4)国の営造物に対する管理責任(国家賠償法−日本法)

 これに対して被告日本政府が主張しているのは、

(1)に対しては、条約では個人に請求権は認められない。

(2)に対しては、除斥期間(20年間)の経過により請求権は消滅した。

また国家無答責により戦前の行為については責任を負わない。

(3)に対しては、危険物を回収する国家機関が法令で定められていない、

他国の遺棄弾を回収することは不可能、

日本政府がやらなくても中国政府が回収できたはず、などの反論をしています。

(4)に対しては、営造物とは言えない という応酬です。

 なお、被告は、事実の認否すら一切行わず、法律論では反論するものの、

事実関係については一切反論もしていません。

Cこれからの訴訟の展開・展望

戦後補償裁判は、なかなか勝訴判決を得るのが難しい裁判ですが、

昨年の中国強制労働裁判の勝訴(劉連仁裁判)もありますし、

遺棄毒ガス裁判はそもそも戦後の被害であって時効や国家無答責などの法律上の障碍がないので

比較的勝つ可能性があるとは言えると思います。

ただそれにふさわしい世論づくりをしていかないと(集会や署名など)を

やはり裁判で勝つということは難しいと言えます。

 

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