|
|
生命の倫理 731部隊と生命の倫理 山内正之1: 「倫理」の授業の中で、生命の尊さと平和教材をどのように取り上げたか紹介したい。2:「生命の倫理」と平和について考える (1)目的:「倫理」の単元の授業内容生命の倫理の単元で、 平和学習の内容と重ねながら学習し、 その単元の学習目標を達成する。 (2)学習テ−マ 今日の現代社会の中で、生命を尊ぶ医者の倫理が問われている。 薬害エイズ問題はまさに過去の侵略戦争の加害の事実とつながっており戦争中の生命軽視の思想が薬害エイズ問題につながったと考えられる。 731部隊のおこなった犯罪と薬害エイズ問題とのつながりを学習し生命の倫理について考える。単元:第4章・生命の倫理で取り扱った
(3)学習内容 ・731部隊と薬害エイズ問題の学習 (4)学習内容 1:731部隊のおこなった歴史的事実の学習 ・1938年中国黒竜江省ハルピン市平房区に研究実験施設をつくる。 ・1939年〜1945年8月までに少なくとも3000人以上の中国人その他の国の人を人体実験で殺害した。 ・当時、日本から最優秀な医者が集められ、731部隊に送り込まれ、人体」実験を行った。 ・毒ガス実験・生体解剖・冷凍実験などあらゆる非人道的実験が行われた。 ・大久野島で製造された毒ガスも人体実験に使用された。・実験対象とされた人たちは「丸太」と呼ばれ、その人権・生命は軽視され「物」として扱われた。 (人命軽視の思想が徹底された) 2: 731部隊の戦後についての学習 ・8月15の地の戦争が終わる前、日本の敗戦を事前に知った731部隊は他の引揚者よりも早く専用列車で日本に逃げ帰った。 ・731部隊の犯罪行為を隠匿するため、人体実験のために集められていた人たちは全員殺され、証拠隠滅のため施設も破壊された。 ・アメリカが731部隊の資料を手に入れる代わりに、東京裁判でも731部隊の犯罪は裁かなかった。そのため、731部隊の犯罪は秘密のベ−ルに包まれた。 ・731部隊で人体実験をした医者たちは戦後の医療界で重要な地位を占めるようになった。・731部隊の人命軽視の思想もその罪を問われることなく戦後の日本の医療界に影響力を持つようになった。 3:731部隊と薬害エイズ問題の学習 ・薬害エイズの原因をつくった製薬会社のは731部隊の重要人物の一人内藤良一が設立した会社であり、多くの731部隊関係者が働いていた。 ・731部隊での血液の人体実験で得た資料や技術をもとに血液製剤を開発売り出した。 ・エイズウイルスが混入している危険性があると知りながら売血で集めた安い輸入血液を使用し非加熱製剤を製造・販売した。 ・そのため、多くの血友病患者がエイズウイルスに感染し、発病した人は次々と命を失った。 ・人命よりも、企業の利益を優先する人命軽視の考え方が根底にある。これは、人の命を「物」と考えた731部隊の人命軽視の思想につながるといえる。 資料:VTR「厚生省は知っていた」 ・明らかに、エイズ・ウイルス感染の危険性を知っていながら厚生省は販売禁止など適切な措置をとらなかった。 ・アメリカでは1983年にその危険性を察知し、販売禁止・さらには出回った危険な血液製剤の回収命令を出した。にもかかわらず、日本の厚生省はなにもしなかった。 ・ここには一人の人間の命よりも、企業利益、自分たちの社会的地位を守ることを優先する人命軽視の思想がある。・製薬会社・医者・厚生省の問題点がみられる。ここには「生命の倫理」は見られない。
|